海洋情報部トップ > 海洋情報部の取り組み > 海の研究

海の研究

海洋情報部では,我が国の産業や国民生活を支える海上交通の安全確保, 海洋に起因する災害への対応,海洋環境の保全,海洋権益の保全, さらには海洋情報の円滑な流通を図るため,最先端の調査・研究を行っています.

研究成果の公表

海洋情報部 研究成果発表会

海洋情報部では,研究成果を分かりやすくご紹介するため,毎年「研究成果発表会」を開催しています.


 ◆◆◆ New ◆◆◆

令和6年1月25日(木)
令和5年度 海洋情報部研究成果発表会/水路新技術講演会 を開催しました.
  

テーマ:海洋底の広域マッピング、その歴史と将来


後日、発表要旨と動画を当ページに掲載いたします.

過去の研究成果発表会の予稿集等

海洋情報部研究報告

研究成果は,海洋情報部研究報告により公表されています.


最新号


オンラインセミナー

部内外の専門家を講演者とした,一般参加型の「オンラインセミナー」を開催しています.


・令和2年11月19日(木)に開催しました.
  「海底地殻変動観測とオープンサイエンス・オープンデータ」

▲目次に戻る

最近の主な研究


南海トラフにおける海底地殻変動観測から検出したゆっくりすべり


海底地殻変動観測の過去データの詳細な解析から,海域においてもゆっくりすべりが発生していることを示唆する
微少な変化がデータ上に複数あらわれていたことを検出しました.
(赤四角は,南海トラフにおける海底地殻変動観測によって,ゆっくりすべりに起因すると考えられる地殻変動の
シグナルを検出した地点)


シグナル検出地点


海底地殻変動の観測システム

GNSS-音響測距結合方式による 海底地殻変動の観測システム


▲目次に戻る

衛星画像を用いた浅海水深情報の把握

原理図

光学センサを搭載した人工衛星の画像を用いて,浅い海域の水深を推定する技術と海洋情報業務への適用について研究を行っています. これは太陽光が水中で減衰する性質を用いて水深を推定する方法で,衛星画像推定水深(SDB:Satellite Derived Bathymetry)と呼ばれています. 測量船が入れないごく浅い海域において特に効率よく水深を把握することができ,短時間で調査が済むことが特徴です.


解析例の図

2013年5月18日に光学衛星WorldView-2が撮影した波照間島周辺の画像を利用して,水深の推定を行った例です. 水色(Coastal Blue),青,緑,黄,赤,深い赤(Red Edge)の6色の波長帯の画像を用いて解析をしたもので, 水深0~24 mの範囲で水深が求められています. 水平解像度は1.84 mであり,このように衛星画像の範囲で面的に広く水深が把握できます. マルチビーム音響測深や航空レーザー測深の精度には及びませんが,迅速に低コストで海底地形が把握できることから, 海図に表現された海底地形の有効性のモニタリングや災害時の障害物調査,津波予測のための海底地形データの作成等に活用が期待されます.


参考文献:

  • Lyzenga, D. R. : Passive remote sensing techniques for mapping water depth and bottom features, Appl. Opt., 17, 379-383, 1978 .
  • 松本良浩: 衛星画像による水深の推定―海洋情報業務への利用に向けて― , 海洋情報部研究報告, 53, 16-28, 2016. [PDF:0.9MB]
  • 佐川龍之, 松本良浩, 栗田洋和, 平岩恒廣 : 高解像度光学衛星画像を用いた水深推定技術の実用化に向けた検討,日本写真測量学会平成28年度年次学術講演会発表論文集,33-36, 2016.
  • (一財)日本水路協会, 衛星画像を用いた浅海水深情報の把握の調査研究(平成27年度), http://fields.canpan.info/report/download?id=11186, 2016.

本研究は(公財)日本財団の助成により(一財)日本水路協会が実施する「衛星画像を用いた浅海水深情報の把握の調査研究」の一環として, 海洋情報部と(一財)日本水路協会の共同研究協定に基づき実施しています.

▲目次に戻る

フィリピン海プレートの理解に向けての窓:ゴジラメガムリオン

フィリピン海
ゴジラメガムリオン


1983年から2008年に掛けて実施された日本政府の大陸棚画定調査によって、フィリピン海プレートの地質学的・地球物理学的な詳しい理解が進展しました(小原ほか, 2015)。このうち、大陸棚画定調査で発見された顕著な地形として、沖ノ鳥島の南東に広がるパレスベラ海盆(Parece Vela Basin)において2001年に発見されたゴジラメガムリオン(Godzilla Megamullion)があります(Ohara et al., 2001; Ohara, 2016)。

メガムリオンとは、海底拡大に伴う大規模な正断層が発達し、その断層運動に伴い表面に下部地殻物質やマントル物質などが露出しているドーム状の高まりを呈する地形であり、海洋コアコンプレックスとも呼ばれます(Escartin & Canales, 2011; Tucholke,et al., 1998) 。メガムリオンは、その表面に海底拡大方向に平行な畝状の構造を持つことが最大の特徴となっています。なおムリオン(又はマリオン)は日本語では方立と呼ばれる建築用語で、窓を縦方向に支える部材を呼びます。

パレスベラ海盆の海底拡大方向は、北東-南西方向であり、同海盆の海底の大部分は、玄武岩マグマの噴出による海底拡大で形作られた、海底拡大方向に直交する地形の構造で特徴づけられています。しかし、ゴジラメガムリオンは、海底拡大方向に平行する畝状の構造で特徴づけられており、特異な存在となっています(Ohara et al., 2001, 2011; Spencer & Ohara, 2014)。ゴジラメガムリオンは125 km × 55 kmという東京都面積の約3倍という広さを有しています(点線の範囲)。この規模は、世界の他のメガムリオンの約10倍程度もある巨大なもので、地球上最大のメガムリオンとなっています。このため、ゴジラメガムリオンと命名されました。ゴジラメガムリオンの全面に、下部地殻物質であるはんれい岩や上部マントル物質であるかんらん岩が露出しており、その物質科学的情報は、フィリピン海プレートの組成・構造に関する重要な知見を与えています(Harigane et al., 2008, 2010, 2011a, b; 2019; Loocke et al., 2013; Michibayashi et al., 2014; Ohara et al., 2003; Sanfilippo et al., 2013; Tani et al., 2011)。

今後は、ゴジラメガムリオンがこれほどまでに巨大に発達した要因を明らかにするための研究を実施していきます(小原, 2021)。


参考文献:

  • Escartin, J., & J.P. Canales, Chapman Conference on Detachments in Oceanic lithosphere: Deformation, Magmatism, Fluid Flow and Ecosystems, EOS Transactions, AGU, 92, https://doi.org/10.1029/2011EO040003 , 2011.
  • Harigane, Y., K. Michibayashi, and Y. Ohara, Shearing within lower crust during progressive retrogression: Structural analysis of gabbroic rocks from the Godzilla Mullion, an oceanic core complex in the Parece Vela backarc basin, Tectonophysics, 457, 183-196, https://doi.org/10.1016/j.tecto.2008.06.009, 2008.
  • Harigane, Y., K. Michibayashi, and Y. Ohara, Amphibolitization within the lower crust in the termination area of the Godzilla Megamullion, an oceanic core complex in the Parece Vela Basin, Island Arc, 19, 718-730, https://doi.org/10.1111/j.1440-1738.2010.00741.x, 2010.
  • Harigane, Y., K. Michibayashi, and Y. Ohara, Deformation and hydrothermal metamorphism of gabbroic rocks within the Godzilla Megamullion, Parece Vela Basin, Philippine Sea, Lithos, 124, 185-199, https://doi.org/10.1016/j.lithos.2011.02.001, 2011a.
  • Harigane, Y., K. Michibayashi, and Y. Ohara, Relicts of deformed lithospheric mantle within serpentinites and weathered peridotites from the Godzilla Megamullion, Parece Vela Back-arc Basin, Philippine Sea, Island Arc, 20, 174-187, https://doi.org/10.1111/j.1440-1738.2011.00759.x, 2011b.
  • Harigane, Y., A. Okamoto, T. Morishita, J.E. Snow, A. Tamura, H. Yamashita, K. Michibayashi, Y. Ohara, and S. Arai, Melt-fluid infiltration along detachment shear zones in oceanic core complexes: insights from amphiboles in gabbro mylonites from the Godzilla Megamullion, Parece Vela Basin, the Philippine Sea, Lithos, 344-345, 217-231, https://doi.org/10.1016/j.lithos.2019.06.019, 2019.
  • Loocke, M., J.E. Snow, and Y. Ohara, Melt stagnation in peridotites from the Godzilla Megamullion Oceanic Core Complex, Parece Vela Basin, Philippine Sea, Lithos, 182-183, 1-10, http://dx.doi.org/10.1016/j.lithos.2013.09.005, 2013.
  • Michibayashi, K., Y. Harigane, Y. Ohara, J. Muto, and A. Okamoto, Rheological properties of the detachment shear zone of an oceanic core complex inferred by plagioclase flow law: Godzilla Megamullion, Parece Vela back-arc basin, Philippine Sea, Earth and Planetary Science Letters, 408, 16-23, https://doi.org/10.1016/j.epsl.2014.10.005, 2014.
  • Ohara, Y., T. Yoshida, Y. Kato, and S. Kasuga, Giant megamullion in the Parece Vela backarc basin, Marine Geophysical Researches, 22, 47-61,https://doi.org/10.1023/A:1004818225642, 2001.
  • Ohara, Y., K. Fujioka, T. Ishii, and H. Yurimoto, Peridotites and gabbros from the Parece Vela backarc basin: unique tectonic window in an extinct backarc spreading ridge, Geochemistry, Geophysics, Geosystems, 4 (7), 8611,https://doi.org/10.1029/2002GC000469, 2003.
  • Ohara, Y., K. Okino, and J. Snow, Tectonics of unusual crustal accretion in the Parece Vela Basin, in Y. Ogawa et al. (eds), Accretionary prisms and convergent margin tectonics in the Northwest Pacific Basin, Modern Approaches in Solid Earth Sciences, 8, Springer, https://link.springer.com/chapter/10.1007/978-90-481-8885-7_7, 2011.
  • 小原泰彦・加藤幸弘・吉田剛・西村昭, 大陸棚調査が明らかにした日本南方海域海底の地球科学的特徴, 地学雑誌, 124(5), 687-709, https://doi.org/10.5026/jgeography.124.687, 2015.
  • Ohara, Y., The Godzilla Megamullion, the largest oceanic core complex on the earth: a historical review, Island Arc, 25, 193-208, https://doi.org/10.1111/iar.12116, 2016.
  • 小原泰彦, ゴジラメガムリオン掘削から明らかにする背弧海盆海洋下部地殻と上部マントルの組成と構造, 地学雑誌, 130(4), 543-558,https://doi.org/10.5026/jgeography.130.543, 2021.
  • Sanfilippo, A., H.J.B. Dick, and Y. Ohara, Melt-rock reaction in the mantle: mantle troctolites from the Parece Vela ancient back-arc spreading center, Journal of Petrology, 54, 861-885, https://doi.org/10.1093/petrology/egs089, 2013.
  • Spencer, J.E., and Y. Ohara, Curved grooves at the Godzilla Megamullion in the Philippine Sea and their tectonic significance, Tectonics, 33, 1028-1038, https://doi.org/10.1002/2013TC003515, 2014.
  • Tani, K., D. Dunkley, and Y. Ohara, Termination of backarc spreading: zircon dating of a giant oceanic core complex, Geology, 39, 47-50, https://doi.org/10.1130/G31322.1, 2011.
  • Tucholke, B.E., J. Lin, and M.C. Kleinrock, Megamullions and mullion structure defining oceanic metamorphic core complexes on the Mid-Atlantic Ridge, Journal of Geophysical Research, 103, B5, 9857-9866, https://doi.org/10.1029/98JB00167, 1998.

▲目次に戻る

▲目次に戻る

研究の評価・不正行為への対応

研究の評価

水路業務研究費による研究については,当庁職員以外の有識者による海洋情報部研究評価委員会を設置し, 公正かつ透明性の高い評価を実施しており, 評価結果は公開されています.

不正行為への対応

海洋情報部における,研究活動上の不正行為への対応について.

▲目次に戻る


このページのお問い合わせは海洋研究室までお願いいたします。
メール: kenkyu*jodc.go.jp (*を@に変えてください)